最高のファーストキス！短編集

２

カフェでゆっくりと時間を過ごし、二人は心地よい会話を重ねた。お互いの些細な話題にも笑い合い、まるで長い間知り合っていたかのように感じられた。カフェを出た後、夕暮れの街を二人で歩いていると、空はほんのりとオレンジ色に染まっていた。

しばらく歩いた後、のん子が立ち止まり、近くの静かな公園に目を向けた。「ここ、少し休憩しない？」と提案する。柏原は頷き、二人は並んでベンチに腰掛けた。夕日の光が彼女の横顔を照らし、柏原はその姿に見惚れながら、鼓動が速くなるのを感じていた。

ふと、のん子が柏原の方に視線を向け、少しはにかんだように微笑んだ。「今日はすごく楽しかった。ありがとうね、柏原くん。」

「僕も、ありがとう。」柏原は静かに答えたが、心の中では言葉にできないほどの喜びが広がっていた。少しの沈黙が流れた後、柏原は意を決してのん子の手をもう一度そっと握った。

「のん子さん、実は…君と一緒にいると、すごく安心できるんだ。」柏原はゆっくりと自分の気持ちを伝えると、視線を彼女の目元に移した。のん子もまた、彼を見つめ返していた。二人の距離が自然と近づき、夕日の中でお互いの吐息が感じられるほどだった。

その瞬間、柏原は思い切ってのん子に顔を近づけた。のん子も目を閉じ、彼の気持ちを受け入れるように静かに身を委ねた。二人の唇がそっと触れ合い、温かく優しい感触が広がる。柏原の心臓は胸の奥で強く跳ねていたが、同時に深い安心感が押し寄せた。

初めて交わすキスはぎこちなかったが、どこか懐かしさを感じるほど穏やかで、心が満たされていくようだった。柏原は、のん子の柔らかい唇の感触を確かめるようにそっと唇を離し、彼女を見つめた。のん子もゆっくりと目を開け、二人は微笑み合った。

「なんだか…夢みたいだね。」のん子が小さく囁くと、柏原は照れくさそうに笑った。「本当だね。でも、これはちゃんと現実なんだ。」

その言葉に、二人は再び静かに見つめ合い、夕暮れの公園にはただ二人の心地よい静寂だけが流れていた。この瞬間がずっと続けばいいと、柏原は心から願いながら、彼女の手を少しだけ強く握り返した。