早河シリーズ最終幕【人形劇】
▼収束のビターエンド

 物語のメインは貴嶋の天地創造計画による最悪の三日間の早河vs貴嶋とそれを取り巻く人々。
旧約聖書の天地創造のキーワードは第一幕【影法師】から出ていましたね。

12月9日→第二章~第四章
12月10日→第四章~第五章
12月11日→第五章~第六章

1日の流れを細かく描いてそれぞれのキャラの見せ場を作ろうとするとページ数もかさむかさむ。
第六章までの構成は初めてですね。いやでもね、今後にお届け予定の【完結編】だとこれが第七章まであるんですよね(小声……)

 早河シリーズは早河vs貴嶋を軸とした群像劇のようなものですね。メインは早河と貴嶋の対決ですが、本作は貴嶋vs莉央にもなっていて。

 莉央の死に納得がいかない、この終わり方は好きではないと思った方もいらっしゃると思います。好みは人それぞれですからね。

ただ、莉央の最期(貴嶋を裏切り殺される)はキャラクター構想の初期段階で決めていました。
手錠をかけられて連行され、刑務所暮らしをする莉央の姿が私の中でイメージできなかったんです。それはなんか私の書きたい莉央とは違うよなぁって。
莉央らしい最期とは、を考えた結果の結末です。

 莉央の本格的な登場となる第三幕【堕天使】では、莉央は兄の俊哉を殺すことを究極の愛情表現としました。同じように貴嶋も莉央を殺すことで彼女を永遠に自分だけのものにしてしまいましたね。

私は意味のない悲劇的な末路は陳腐な気がして好きではないので、『キャラクターの死』にもそれ相応の意味を持たせられるよう努めました。

 第四章にある「一番大切な人だから自分が悪者になっても嘘をつき続けて欺き通す」この莉央のセリフが後の裏切りの伏線です。

 前日の夜に貴嶋と濃厚ベッドシーン(場所はお風呂だけど)があったのも、こんなに貴嶋さんといちゃいちゃしてる莉央がまさか裏切るわけないでしょ〜と、読者を油断させるためでもあります。

ちなみに莉央と貴嶋はお風呂の後にベッドで2回戦、3回戦していそう。貴嶋さんならやりかねない。
たぶん莉央を朝まで寝かしてない。翌日のこの二人が寝不足の状態で帝国劇場に居たかと思うと、なかなかシュールで面白いです。

 私の物語では罪を犯した人間は何らかの形で裁かれています。犯罪者をハッピーエンドにはさせません。
莉央もやはり殺人犯、これが私なりの莉央への最善の裁きと解放でした。

 早河シリーズは何エンドなのかと考えましたが早河の目的は達成できたのでバッドエンドではない、
でも莉央(敵方の善意)の犠牲と引き換えの目的達成はハッピーエンドとも言い難い、ほろ苦く切ないビターエンドがこのシリーズには似合うのかもしれません。
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