早河シリーズ短編集【masquerade】
昔、早河とハンバーガーショップに入った時にフライドポテトは揚げたてのカリッとした方が好みか、しなびた方が好みかで早河と揉めた出来事を思い出した。
早河は揚げたてのカリッと派、矢野は時間が経ってしなびた派だ。早河とはそんなくだらない喧嘩ができる仲にまでなった。
『確かに情報屋やろうと思ったのも、刑事になった早河さんをサポートしたいって気持ちあってのことだったな』
「その気持ちはもうないの?」
『もちろんあるけど……』
「一輝は情報屋の仕事が好きなんだよ。高校の時にした予備校の潜入もそう。情報を集めるために動いたり潜り込んだり。一輝が情報屋の仕事していなかったら私達は出会ってなかった」
情報屋と刑事だったから矢野と真紀は出会い、恋に落ち、こうして今一緒にいる。
「私は情報屋をしてる一輝も好き。私や、いつか産まれる子どものことを考えてくれるのは嬉しいよ。でもそれで好きな仕事を辞められるのは嫌。一輝には生き生きとしていて欲しい」
ハルナと再会することはきっとない。だけどハルナに伝えたいことがひとつだけある。
悪い女に騙されるどころか、自分は最高の女性と巡り会えた。世界で一番大切な女性に。
忘れかけていた感情を真紀が思い出させてくれた。
『真紀……ありがとう。カオスを潰してから、俺ちょっと腑抜けになってた。今まで早河さんと一緒にカオスを潰すことだけを考えて情報屋やってたからさ。目的がなくなっちまった気がしてた』
「わかるよ。私も貴嶋を逮捕した後は気が抜けた時期があったもん」
春の匂いのするそよ風が二人を包む。柔らかな日差しは祝福の光。
『好きだから……それが目的でいいんだよな』
「うん、いいんだよ。一輝は一輝らしく生きて」
『あーっ! 真紀愛してる! めちゃくちゃキスしたいっ。もうこのまま子作りしちゃう?』
「アホ! 変態っ!」
人にはいくつもの顔がある。大切な人にだけ見せる顔がある。
これが不夜城を生きる道化師の本当の顔。
story3.不夜城ピエロ END
→story4.Blue moon に続く
早河は揚げたてのカリッと派、矢野は時間が経ってしなびた派だ。早河とはそんなくだらない喧嘩ができる仲にまでなった。
『確かに情報屋やろうと思ったのも、刑事になった早河さんをサポートしたいって気持ちあってのことだったな』
「その気持ちはもうないの?」
『もちろんあるけど……』
「一輝は情報屋の仕事が好きなんだよ。高校の時にした予備校の潜入もそう。情報を集めるために動いたり潜り込んだり。一輝が情報屋の仕事していなかったら私達は出会ってなかった」
情報屋と刑事だったから矢野と真紀は出会い、恋に落ち、こうして今一緒にいる。
「私は情報屋をしてる一輝も好き。私や、いつか産まれる子どものことを考えてくれるのは嬉しいよ。でもそれで好きな仕事を辞められるのは嫌。一輝には生き生きとしていて欲しい」
ハルナと再会することはきっとない。だけどハルナに伝えたいことがひとつだけある。
悪い女に騙されるどころか、自分は最高の女性と巡り会えた。世界で一番大切な女性に。
忘れかけていた感情を真紀が思い出させてくれた。
『真紀……ありがとう。カオスを潰してから、俺ちょっと腑抜けになってた。今まで早河さんと一緒にカオスを潰すことだけを考えて情報屋やってたからさ。目的がなくなっちまった気がしてた』
「わかるよ。私も貴嶋を逮捕した後は気が抜けた時期があったもん」
春の匂いのするそよ風が二人を包む。柔らかな日差しは祝福の光。
『好きだから……それが目的でいいんだよな』
「うん、いいんだよ。一輝は一輝らしく生きて」
『あーっ! 真紀愛してる! めちゃくちゃキスしたいっ。もうこのまま子作りしちゃう?』
「アホ! 変態っ!」
人にはいくつもの顔がある。大切な人にだけ見せる顔がある。
これが不夜城を生きる道化師の本当の顔。
story3.不夜城ピエロ END
→story4.Blue moon に続く