早河シリーズ短編集【masquerade】
隣の高石が隼人を小突いた。
『お前って意外とロリコンだったんだな』
『バーカ。ロリコンじゃねぇし。女子高生も女も彼女以外に興味はない』
ハッキリ言い切った隼人に、さらに周囲の好奇な視線が注がれる。馬場も高石も唖然とした。
『恥ずかしいことさらっと言っても様になるのはイケメンだからなのか……? イケメンって得だなぁ』
『だけど木村がベタ惚れなのもわかる。あの子可愛いもんなぁ。可愛いと綺麗のいいところ取りした感じで、サラサラロングヘアで、抱き締めたら絶対いい匂いしそう……。はぁ……』
馬場はよほど昨日見かけた隼人の恋人が忘れられないらしい。
隼人としては、ここで馬場を牽制しておく必要がある。相手が誰であっても彼女を譲るつもりは毛頭ない。
『いつから付き合ってるんだ?』
落ち込む馬場とは対照的に高石は緩んだ口元を隠す気もなく、興味津々に質問を繰り出した。
『9月で付き合って1年になる』
『去年からならお前が大学の時か。それならギリギリありだよな。俺らの年齢で十代に手を出すと、下手すれば周りからロリコン呼ばわりされるから怖いぜ』
『俺はロリコンじゃねぇって。彼女が高校生じゃなくてハタチ越えてたって俺は絶対彼女に惚れてた』
隼人は完食したAランチセットのトレーを持って立ち上がる。先ほどから、こちらを見てひそひそ話をする社員達の視線がうっとうしくて一刻も早くこの場を去りたかった。
中でもひときわ鋭く突き刺さる視線を背後に感じる。隼人は視線を感じる方向を一瞥した。
明るい日差しの差し込む窓際のテーブルに頬杖をついてこっちを見つめる女がいる。彼女は隼人を数秒見つめた後、開いた文庫本に視線を落とした。
入社して2ヶ月。この女難の相が杞憂であればいいと願う。だが隼人の願いも虚しく、彼が危惧した女難は数日後に降りかかることになるのだった。
『お前って意外とロリコンだったんだな』
『バーカ。ロリコンじゃねぇし。女子高生も女も彼女以外に興味はない』
ハッキリ言い切った隼人に、さらに周囲の好奇な視線が注がれる。馬場も高石も唖然とした。
『恥ずかしいことさらっと言っても様になるのはイケメンだからなのか……? イケメンって得だなぁ』
『だけど木村がベタ惚れなのもわかる。あの子可愛いもんなぁ。可愛いと綺麗のいいところ取りした感じで、サラサラロングヘアで、抱き締めたら絶対いい匂いしそう……。はぁ……』
馬場はよほど昨日見かけた隼人の恋人が忘れられないらしい。
隼人としては、ここで馬場を牽制しておく必要がある。相手が誰であっても彼女を譲るつもりは毛頭ない。
『いつから付き合ってるんだ?』
落ち込む馬場とは対照的に高石は緩んだ口元を隠す気もなく、興味津々に質問を繰り出した。
『9月で付き合って1年になる』
『去年からならお前が大学の時か。それならギリギリありだよな。俺らの年齢で十代に手を出すと、下手すれば周りからロリコン呼ばわりされるから怖いぜ』
『俺はロリコンじゃねぇって。彼女が高校生じゃなくてハタチ越えてたって俺は絶対彼女に惚れてた』
隼人は完食したAランチセットのトレーを持って立ち上がる。先ほどから、こちらを見てひそひそ話をする社員達の視線がうっとうしくて一刻も早くこの場を去りたかった。
中でもひときわ鋭く突き刺さる視線を背後に感じる。隼人は視線を感じる方向を一瞥した。
明るい日差しの差し込む窓際のテーブルに頬杖をついてこっちを見つめる女がいる。彼女は隼人を数秒見つめた後、開いた文庫本に視線を落とした。
入社して2ヶ月。この女難の相が杞憂であればいいと願う。だが隼人の願いも虚しく、彼が危惧した女難は数日後に降りかかることになるのだった。