早河シリーズ短編集【masquerade】
▼story7.刹那主義シンドローム

 隼人の幼なじみの渡辺くん初の主役物語。この短編集の中ではミステリー要素が一番薄めの恋愛短編です。

この作品は書いていて楽しかったです。

先生してる渡辺はかっこいいし、リケジョの泉ちゃんは可愛いし、あざとい小悪魔な鈴華ちゃんも知略派院生の白井先輩もいい味出してくれてる。

 主役の渡辺は二面性の強い人ですね。白昼夢の時もそうでしたが、チャラいかと思えばそうではないし冷静な面と熱い面を併せ持っています。

幼なじみの隼人よりは潔くて聞き分けもよくて、だからこそ事なかれ主義に、流れに身を任せるように生きてきました。
隼人は流れを逆流するタイプです。笑

 いつも一緒にいた隼人は結婚して父親になっているのに自分はいつまでも同じところを堂々巡り。でも別にこの生き方も嫌いじゃない。
そんな渡辺と出会うのが彼氏に浮気された理系女子の泉。

泉は研究が楽しくて恋愛より研究に没頭していたら浮気されて、恋愛はしばらくお休みにしたい。男はもうこりごり……。

恋愛よりも研究な二人が出会うとどんな化学反応が起きるのか。二度と会うこともないと思っていたあの人が何故か気になる。

今は恋なんてしたくないのに恋してしまった。
なんともまぁラブコメ少女マンガっぽい。
誰かこの話をコミカライズ化してくれないかなぁ……。(他力本願)

 ピュアな理系で実は酒乱の泉も、渡辺先生を落とすためなら手段は選ばない小悪魔な鈴華も私はどっちも好きです。

酔っぱらい泉ちゃんが歌う〈ジャガイモ帝国の歌〉はもちろん私の作詞ですが気に入っています。笑

 渡辺はポストドクターとなっていますが、現実には大学院博士課程まで修了しても就職や大学に残るのは大変らしいです。

成功する人間がほんの一握りの世界なのは、大学という社会も同じなのかもしれませんね。
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