あなたの見る世界に私は

木漏れ日の中で

君が目を開く。
宝石を守るかのように包まれていた目に少し光が差し込んだ。その目はきらめく琥珀色、そこには桜の花が散りばめられている。


私は昔から人の目を見るのが好きだった。なぜなら目の奥には一人一人の世界があるからだ。いままでの楽しい思い出、辛い思い出、どんな思い出も輝いていてそれはきっと瞳によって集められて広がり目を閉じることによって包み込まれる。…こんなこと言っても親にも友達にも理解されないだろうな…。
そんな私にはいま気になっている人がいる。
となりの席の「糸目」の男の子。目は見えるけど本当の目を隠すように光を通さない。話したことはあるけどあまりどんな人かわからない。気になる。君はどんな世界を見ているの?他の人の三分の一ほどの世界に私は入ることができるの?
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