届かなかった言葉たち
23歳 秋
私は逃げていたのかもしれない。
23歳になるまで私は全く恋愛をしてこなかった。男性が苦手だった訳でも、恋愛する環境がなかった訳でもない。ただ、自分の気持ちに気づくのが怖くて怖くて仕方がなかったのだ。本当は寂しがり屋で臆病な私に。
勤務校の文化祭が終わった後、心に少し余裕が出来たこともあり、ほんの思い付きで出会い系のアプリを入れた。
それが全ての始まりだった。
23歳、恋愛経験が無いのもそろそろ不味いのではないかという思いと、学生時代は部活という楽しみで恋愛をする気も起きなかったが、今は仕事という退屈な日々しかない。何か彩りが欲しかったのだと思う。仕事柄、顔バレは怖かったので顔写真は一切載せなかった。代わりに思いの丈をプロフィール欄いっぱいに書いた。
顔写真を載せていない分、きっとマッチする確率は低いだろうと思ったが気にしなかった。それよりもこの長ったらしい自己紹介文を読んでくれた人がいいねを押してくれるだろうという期待にむしろ胸をふくらませていたくらいだ。