両片思いだったのに略奪されて溺愛されました


「乗りたきゃいつでも出すよ」


「え、ホント?」


「いうほど乗らないしね」




うわ、どうしよう。


単語だけ切り取ったら、なんかいい感じの会話じゃない?


と、少しだけ浮わつくものの、数秒で浮かび上がる、あの女の姿。



――ダメだこりゃ。



「遠慮なくお願いするよ」


ははっ、と渇いた笑いしかない。

期待したくてもそういう状況じゃない、ってね。


身に染みすぎ。この片想いの負け癖。
< 123 / 755 >

この作品をシェア

pagetop