両片思いだったのに略奪されて溺愛されました
「乗りたきゃいつでも出すよ」
「え、ホント?」
「いうほど乗らないしね」
うわ、どうしよう。
単語だけ切り取ったら、なんかいい感じの会話じゃない?
と、少しだけ浮わつくものの、数秒で浮かび上がる、あの女の姿。
――ダメだこりゃ。
「遠慮なくお願いするよ」
ははっ、と渇いた笑いしかない。
期待したくてもそういう状況じゃない、ってね。
身に染みすぎ。この片想いの負け癖。