両片思いだったのに略奪されて溺愛されました
均衡を崩す勇気がなかったのは、俺だけじゃなかったらしい
「あ、そう」
そう言われたところで、そうとしか言えない俺は、とりあえず目の前にあるパスタを口にぶちこむ。
「ハジメ君、実家を出るみたいなんですけど」
「へぇ……」
そりゃ、そろそろ一人立ちしたらいいんじゃん。
歳も歳だし。
「でも、それはおばさんからうちの母が聞いただけで、私には何も話してくれなくて」
「……うん」
付き合ってないんなら、そらそうだわな