両片思いだったのに略奪されて溺愛されました

――だよな。


そうだよな、……わかってた。



だったらもう、最悪なくらい、嫌われたほうがスッキリする




「ちょっと入れたら最後まで気持ちよくなりたくなるよ?」


「言葉を失った今」



失望して。

友人のポジションも、いらない。






昇進でもう直接仕事で絡むことはこの先ないだろうし、――ゲンが杏とうまくいくとか、南ちゃんがゲンとなんかするとか、もう全部どうでもいい


今まで築き上げてきた関係だとか、そんなもの全部、――いらない



杏が欲しいと、願うことさえ、最初から、ダメなことだったんだ。





「くの一か」


脱力した俺の腕の中から、杏が瞬時に退け出した




「アンタ出入り禁止ね、金輪際」


ほら、ね。


終わり

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