両片思いだったのに略奪されて溺愛されました
意識しないよう、なんて無理。
だってコイツ――
「伊藤さん、伊藤さん」
「……え、あ」
「大丈夫ですか、さっきからずっと時が止まったかのように固まってますよ。寝てるかと思ってましたよ」
――ちょ……!三浦!なんて空気の読めないことを!
「なに、どうしたの」
何故かいつもより三倍増しでご機嫌が悪い坂巻さんが地に響きそうな低い声を出した
「いえ……」
「そんな余裕あっていいわね」
どうしたんですか、今日。