両片思いだったのに略奪されて溺愛されました



熟れた蜜が、渇いてしまわないかヒヤヒヤする。




「──ねぇ、坂口くん」



「なんですか?」





「したかった?」





私は、そうじゃなかった。




「それを聞いてどうするんです」


くしゃり、と




能面顔が、崩れる。




「な、何となく」



「それは、言いたくないですね」

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