両片思いだったのに略奪されて溺愛されました
そのあと、何事もなかったかのように宮益坂を下って、高架下を抜けて歩く。
不思議な事に、並んで歩くときは手を繋いで。
甘い会話もなく、そのまま坂口くんは部屋着になりそうなものや下着類を揃えて満足そうに家についた。
「坂口」
マンション前にいた人影から、聴き慣れた声がした。
わ…、敦史。
「どーゆー事」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔の敦史のその声に私もちょっと驚いた。
いや、どーゆー事なんだろう(説明しがたい)