両片思いだったのに略奪されて溺愛されました
そんでもって
相変わらず仕事以外、杏からは
LINEも無視。
電話も無視。
これは、一生謝らせてもらえないんじゃないか
え、そんな嫌だったの?
俺が連絡して拒否する女なんて、この世で杏しかいない。
どうしたもんかと思っても、仕事が忙しくて杏とすれ違う事すらない。
不安だけが募ってく。
もう、ダメかもしれない。
「あ、水嶋さん」
社内の廊下で坂口に声をかけられて、振り返る。
「おう、どう?慣れた」
「その事なんですけど、水嶋さんには言っておこうと思いまして」
「ああ、何?」
「僕、半年後に退職しようと思って」
ブハッ、と漫画みたいに吹き出してしまった。
「は?」
「スタートアップの会社立ち上げようと思ってるんですよね」
「え、そんな準備してんの?」
「はい」
今時の若い奴の行動力すげえな。