両片思いだったのに略奪されて溺愛されました
「えっ、楽しくない?私すごく楽しいんだけど」
私がそう言うと、ハァ、とため息をついて「仕事中に考えないのに?」と、坂口くんは言った。
「仕事中は仕事の事しか考えないでしょ」
「……」
仕事中そんな余裕ないのよ、悪かったわね。
「僕の方が重そうです」
「意外」
「そう思ってるのは僕自身です」
そのように見受けます。
「けど、ちゃんと打刻した後は考えてたよ?」
切り替え出来る子なので!!!
「以前から、そうでした?」
そう、冷ややかな声がして、私は考え込む。
「以前って?ハジメの事?敦史のこと?猛禽女のこと?」
「めちゃくちゃ考えてるじゃないですか」
「そりゃ、四六時中忙しいわけじゃないから…」
「今日は忙しかったんですか?」
「いや、全く」
だって、悩み事じゃないし
「幸せだと考えないんだよ」