両片思いだったのに略奪されて溺愛されました
信じるということ
坂口くんとの同棲の日々は、驚くほど甘かった。
「杏、今日出る時言って」
「あー、わかった」
久しぶりの学生時代の卒業同期生の集まり。
まっつん(美食家)が趣味の垣根を越え、ついに自身でお店を出した。
サンプルを届けにきたハジメにそう返事を返して、黙々と作業に専念する。
最近、坂口くんのおかげか、残業がほとんどない。
我が彼氏ながら、毎日惚れ直す日々だ。
ハジメも敦史も仕事できると思ってたけど、坂口くんのシゴデキ感まじでやばい。
何が凄いって、坂巻さんのメンタルがめちゃくちゃ安定しているからだ。
この企画室にまさか春が訪れる日が来るとは。