両片思いだったのに略奪されて溺愛されました
坂口くんと付き合うようになって、これが両思いというものか!!
ということを知ってしまうと、なんともその間抜けな両思い期間に笑いが込み上げてくる。
意味ないよ、そんな両思い。
だいたい、坂口くんは絶対に仕事で私に無理を言ってこないし。
私だって、頼られたい、だとか思わなくなった。
お互い、信用してるからだ。
てか、そんな無茶振りをしてこないのよ、坂口くんは。
「ごめん、待たせた」
「全然。いこ、お腹減ったー」
店までは歩いて行けるので、国道沿いを並んで歩く。
ずっと複雑な想いでこの隣を歩いて来た。
でも今は、そんなもやもやとした気持ちはひとつも残ってない。
「杏、なんかあった?」