両片思いだったのに略奪されて溺愛されました
「坂口くん」
あー、もうめんどくさい。
ちょうど全員(直美は関係ないけど)いるし、ちょうどいい。
みんなが「誰!?」と騒いでいる中
「あー、リクですか」
と。私の耳にはしっかりと届いた小声。
おん?
「軽々しく名前で呼ばないで欲しいな」
カチン、ときて
つい、うっかり言ってしまった…。
いや、この女には積年の恨みが積もりすぎて。
でも、猛禽女はピクリともせずに笑顔で「うまくやってくれたんですね」と、ボソッと呟いた。