両片思いだったのに略奪されて溺愛されました
「ちょっと、リク」
――招かざる南も追ってやってきた。
ハァ、めんどくさ。
「あ、猛禽女」
伊藤さんが南を見つけて、そう呟く。
「え、知り合い?」
男が伊藤さんにそう問いかけると、
「同僚です」
2人がやり取りをして、男が「参ったなー」と苦笑いしたと同時にエレベーターが地上に止まった。
「失礼しました」
部外者なので、一応謝罪をすませてその場を足速に去る。
何で俺はこんな事に巻き込まれてるんだ。
「ねえ、リク待ってよお」
「もういい?俺帰る」
「いいけど、困る」
「何がだよ、さっきから」
「伊藤さんが知らない男に遊ばれて、ハジメちゃんが目覚めて本気出したらどうするの」
そんな事考えてたのか