両片思いだったのに略奪されて溺愛されました
「残念でしたね、南ちゃんが来なくて」
家路までの数分間。
敦史がだんまりになって、私は気落ちしている敦史にそう言った
「明日イベントだからしゃあない」
「そだね、明日の予算、南ちゃんがいないと達成出来ないし、MDとしては困るよね」
ぷぷ、と。人の事だとこれっぽっちも痛くないから言いたい放題。
あの猛禽女は、お店にも、ブランドにも、会社にも必要な、大切な社員だ
「お前、頑張ってる人間にそう言うこと言わない」
――は?
じゃあなに、私は頑張ってないって言ってんの?