男たちの、本懐。





 周囲が────…、

 徐々に騒がしくなりはじめた。




 「オ゛イ!!!アッチにまわり込んだぞ!!追え!!!!」



 「しかし、!!!____…っ」

 「馬鹿野郎!!何してやがる!!!」

 「援護を頼むっ!」




 パンっ!!

 パンッ!!!パン!!!!




 「アーウェイ様とは連絡
 取れたか?!!____…あ?!!繋がらないだとッ?!

 クソっ!!!!」



 「総代!!Come here!!!」



 「まずい!!!応援はまだか?!?!」


 「代表!!こちらに、っっ車の陰に!!!」



 「ッ____…グッ、」




 黒服の構成員は、それなりの恰幅と肉付きで鍛えられてはいるがそれでも、
 カーフェイのそれよりは劣った。




 何せ日本人なのである。


 もとより小柄な彼らが、日々、訓練を積んでいるとは言え、本格的な軍特殊部隊養成所を出た
 カーフェイは
 彼らの、比でないのは確かだ。




 ────それでも緊急を要する事態。




 なんとか、二人がかりで怪我を負った彼に肩を貸し、路上駐車したリムジンの反対側に
 回り込むけれども
 ひっきりなしに臨戦しにくる銃声と、複数の足音が。


 厳しい情勢であることを示唆していることに変わりはなかった。




 閑静な住宅街で、場違いにも響き渡る構成員やSPの気迫交じる怒号。


 異様な発砲音。




 さすがに状況がおかしいと感じた人々が、自宅から顔を出し、
 スマートフォン片手に電話する主婦や
 野次馬のごとく、
 窓の影から覗きこむ老夫婦など。




 外にいた住人たちはキャー!と悲鳴を上げ散り散りに逃げ、身を隠していく姿たちを視界に
 捉えたカーフェイは、
 いよいよ(まなじり)を吊り上げちいさく。

 舌打ちを響かせた。




 嗚呼・・・・・マズイな、サツに通報が入ると厄介だ。




 立場上の問題もあるが今回の場合、隠密(おんみつ)な交渉も兼ねている為、公安にのみ
 話を(押し)通し
 承認を得た段取りとなっている。




 下々に割いている猶予すら取れない事態に、一刑事でも介入されるのは
 現状、好ましくない。


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