男たちの、本懐。

　男は着てある身包みをある程度、剥ぎ。



　なるだけ動きやすい恰幅に様相を変えると組員やSPたちに的確に指示を出す。




　各々、
　援護銃撃を繰り広げて、車の影から散っていくのを確認した彼は
　さいごの力を振り絞り。



　真冬の気候のなか、
　黒紅いろのスーツパンツに血濡れたワイシャツと、銃を装着したホルスターのみ身につけたまま
　壁伝いに冷えた道を歩いていく。




　激痛に蠢く腹あたりを押さえこんでも痛みが引くワケではないが。


　無いよりはマシだ、と少々、太々しい心持ちでいなければ今にも失神してしまいそうな神経に、なんとか堪える。




　そうして────…。




　とある
　倉庫の併設された一軒家に目をつけた彼は、からだを引きずりながらも脳をフル稼働させ、

　高さのあるブロック塀を目算し片手の腕力だけを重心に、重怠い上体を翻すと
　その敷地へと入り込む＿＿＿＿…、