ベイビー•プロポーズ

それからしばらく黎と2人の時間を過ごした後、私は美郷と優弥と合流。黎は私の接客をするために教室へと戻っていった。


早いもので文化祭ももう終盤。


15時を回った校内は、全体的に人の入りも賑わいも午前中よりは落ち着いている。それなのに黎たちのクラスは変わらず大行列を成していた。


私たちの接客は黎と碧葉が担当してくれたのだけれど、クラスの2大トップが1つのテーブルに集まっているもんだから、それはもう大注目の的で。


萎縮する私と周りを一切気にすることなくいつも通りの黎。それを面白がっている他3人。かなりカオスな空間だった。


だけど注文したチョコレートパフェは普通に美味しかったし、賑やかでどこか懐かしい雰囲気に心は踊った。


それに完全に私の専属執事に徹している黎が、私を楽しませようとしてくれているのは十分伝わってきた。


さすがにあの場でパフェのあーんは公開処刑すぎて全力拒否したけど。








――時刻は17時15分。


文化祭は17時で終了。帰る来客者たちで溢れる正門前で美郷と優弥と別れた私は、正門とは真反対にある裏門にいた。


在校生にバレないよう、裏門を出てすぐ脇にある花壇に腰掛け顔を隠すように背を丸めている私は、傍から見れば不審者かもしれない。


どうしてこんなことをしているかというと、一緒に帰ろうと黎からお誘いを受けたから。
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