ベイビー•プロポーズ
可愛すぎるもえに俺の我慢が限界で、キスをしてしまったあの日。「いいよ」と言われたことが嬉しくて、もえからキスされたことが幸せで。1人で舞い上がってしまった。
2回目のキスの後、もえは「ごめん」「ちょっと頭冷すね。映画はまた今度、ごめん」と言ってその場を1人で立ち去ってしまった。
あの時のもえの沈んだ声と強張った顔がずっと、頭から離れない。
調子にのっていたから罰が当たったんだ。寝ているもえに勝手にキスなんかするから罰が当たったんだ。
もえがキスを拒まなかったのは、あの時の雰囲気に流されただけなのかもしれない。キスしてみて「弟にしか思えない」と再確認したのかもしれない。勝手にキスされていたことがやっぱり許せなくなったのかもしれない。
俺がきちんと我慢できていれば……、もえとの仲が拗れることはなかったのに。
もえの特別になりたい。もえの彼氏になりたい。もえにもっと触れたい。もえのことが好きすぎて、どんどん欲張りになっていた。
こんなことになるくらいなら、一生俺の片思いでいいから、弟みたいな存在でいいから、もえの側にいればよかった。