ベイビー•プロポーズ

ようやく自由に動けるようになった身体。んーっと思いっきり伸びをする。


二日酔いのせいなのか、頭はまだ重怠く鈍い痛みがずっとしている。
 

黎はまだ完全に覚醒していないようで、半開きの目で音楽を止めていた。


「それアラーム?」

「うん」

「今何時?」

「まだ10時。もえ、2度寝しよ」


そう言って再び私に覆いかぶさろうとする黎の腕をギリギリのところで押し返した。のだけれど、倍の力でさらに押し返され、再び私の上半身は黎に捕えられた。


今度は後ろからではなく、黎と向き合う形でホールドされている。


「おかしいおかしいおかしい」

「もえは朝から元気だね」


俺はまだ眠いと言いながら、ふあ、と軽い欠伸を漏らす黎。


「お母さんは?碧葉は?黎が私の部屋にいること知ってるの?」

「うん。優子さんが遅いから泊まってって言ってくれた」

「どうしていつもみたいに碧葉の部屋に行かないの」

「もえ、家に着いてからもずっと、俺から離れなかったんだよ。そしたら優子さんが一緒に寝てあげてって」


ちょっとお母さん……!年頃の娘と男子高校生を同じベッドで寝せていいわけ?


こんな場面を単身赴任中のお父さんが見たら、間違いなく卒倒する。
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