ベイビー•プロポーズ
「どんだけ傷つけてもどうせ黎の気持ちは変わらないって、自分を好きでいてくれるって優越感にでも浸ってるわけ?」
「っ…、違う!優越感なんて…そんなこと思ったこと1回もないよ!」
両目から涙が零れると同時、喉から出た声は自分でも驚くほど大きなものだった。
碧葉が少し目を見張らせたのが、歪んだ視界の中に映った。
ふうっと一呼吸置いて、ゆっくりと口を開く。
「確かに、黎に甘えてたところはあった。碧葉の言う通りだよ。気持ちに答えるつもりはないくせに、きちんと突き放すこともできなくて……。だって、黎からの気持ちが嬉しかったから……」
「なんで黎の気持ちには答えらんねーの?」
「7歳差は私には大きすぎる。みんな年の差なんてって言うけど、17歳と24歳の壁は私にとって越えられないくらい高いものなの。黎だって今はいいかもしれないけど、この年の差がネックになる時がきっと来る」
「なにそれ。黎がそんなの気にするわけねーじゃん」
「そんなの分からないじゃん」
「萌葉に対する言葉とか態度とか、目で見てはっきり分かるこれまでの黎より、被害妄想で創った黎の方を信じるんだ」
「だってそれは、」
「好きなら好きでいいじゃん。なんで勝手に悪い方に考えて逃げるわけ?」