ベイビー•プロポーズ
「これを計画したのは全部俺だよ。萌葉は頑固だからさ、これくらいしないと無理だと思って。ごめんな」
「ううん、」
「傍から見ててすっげえモヤモヤしてたんだよ。ここ最近の萌葉も黎も完全に死んでて、両想いのはずなのになんでこんなことになってんだよって」
弟、そして親友という立場から私と黎を1番近くで見ていた碧葉は、私たちの関係を自分のことのように気にかけてくれていたよう。
こんな出来の良い弟をもてて光栄に思うと同時に、姉としての自分の不甲斐なさに頭が上がらない。
「碧葉にかなり心配かけてたんだね。ごめんね」
「いや、ここで萌葉がちゃんと本音言ってくれてよかった。大事な2人が無事くっついてくれてこれで俺も一安心」
碧葉と黎が友達じゃなければ、そもそも私と黎は出会っていなかった。黎が私に恋することも、私が黎に恋することもなかった。そして今回だって、碧葉がいなければ私は黎への想いをずっと伝えられずにいたかもしれない。
私と黎のキューピッドは間違いなく碧葉だ。
私と瓜二つの目を細めてにやりと笑った碧葉は「じゃあ、邪魔者は一旦退散しまーす」と部屋から出ていこうとする。リビングの扉を開ける直前、こちらを振り返った碧葉は黎へと視線を向けた。
「黎、俺コンビニでそこまで長居するつもりねえから」
「うん」
「ここでいちゃいちゃしすぎんのはやめてな」
「それはもえ次第かも」
「えっ?!」
「ちゃんとチャイムは鳴らすから絶対出ろよ」
「はいよ~」
ひらひらと右手を振る黎に同じく右手を挙げた碧葉はそのままリビングから出て行った。