ベイビー•プロポーズ

「黎、それは恋かもしれないね」

「こい?」

「しかも初恋なんじゃないか?」

「はつこい?」


俺の目の前に座る父さんと母さんは、2人とも嬉しそうに笑っている。


「俺の初恋は幼稚園の時!まみ先生!」


隣に座る3歳上の雅も胸を張りながら得意げに笑う。




「でもね、黎。黎はもえちゃんの弟にはなれないの」

「どうして?」

「もえちゃんの弟になるってことは、もえちゃんの家族になるってことなの。黎の家族は、お父さんとお母さんと雅の4人でしょ?もえちゃんの弟になるなら、黎は家族から抜けなくちゃいけなくなっちゃうの」

「それはやだ」

「俺も黎がいなくなるのはやだ!」

「お母さんも嫌よ?だから、もえちゃんの弟になるのはちょっと難しいかなぁ」


しゅん、と肩を落としていると「あーでも、」とお父さんが口を開いた。


「黎ともえちゃんがずっと一緒にいれる方法が1つだけあるぞ?」

「!」

「黎がもえちゃんと結婚すれば、おじいちゃんとおばあちゃんになってもずっと一緒にいれるんだよ」

「けっこん?」

「好きな人同士がずっと一緒にいるために家族になる約束のことよ。お父さんとお母さんも結婚したから、こうやって一緒にいれてるの」

「けっこん、すごい」
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