ベイビー•プロポーズ

『もえ、おれのみょーじ、ほしい?』

『うん、欲しい!獅子堂萌葉ってめちゃくちゃかっこいいもん!なんか強そう』

『おれ、もえにみょーじあげるほうほうしってる』

『え〜、なになに〜?』

『けっこん』

『け、結婚?』

『すきどうしならできるって。おれ、もえ、すき』

『あははっ、私も黎くん好きだよ〜!』

『じゃあ、おれのみょーじ、もえにあげる』

『え〜嬉しい!黎くん絶対だよ〜?』

『うん、ぜったい』


7年前のとある日。オレンジのバスケユニフォームを着た黎に、白昼堂々リビングでプロポーズ(?)を受けた。


キッチンでお昼ご飯を用意していたお母さんは「あらら」と微笑ましそうに笑っていて、ソファに座っていた碧葉はこいつまじか、みたいな渋い顔をしていた。


当の本人は至って真剣に、真っ直ぐ私を見上げていた。


あの時の黎は本当に可愛くて可愛くて。7歳下の子に不覚にも胸きゅんしてしまった。


とはいっても、当時17歳の私にとって10歳の黎は当たり前に恋愛対象外。LIKEではあるけどLOVEではない。


最近の小学生はませてるな〜、なんて思いながら突き出された小指に自分の小指を絡めた。
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