ベイビー•プロポーズ
碧葉も初恋相手は幼稚園の担任だったわけだし、年上のお姉さんに憧れる年頃なのかな。
どうせ黎の感情も一時的なものだろうし、思春期になったら黎にとって黒歴史であろうこの話を弄ってやろう。
なーんてことを軽く考えていた。――はずなのに…
゚*.。.
「もえ、おかえり」
「きゃっ!……黎か、どうしてここに?」
最寄駅の改札を抜け歩き出してすぐ、後ろからいきなり声をかけられた。よくよく見ると、それは制服姿の黎だった。
「今日もえが残業で遅くなるってあおに聞いた」
「迎えにきてくれたってこと?」
「そう」
私の肩にかけられたトートバッグをするりと奪った黎は、もう片方の手でナチュラルに私の手を握ろうとしてくる。
「ちょ!何してんの」
「何って、手、繋ぐ」
「いやいや、なぜ」
「もえと手が繋ぎたいから」
そう言うと、ぎゅっと指を絡めた黎はものすごい力を手に込め、そのままスタスタと歩き出す。
「ねぇ、家に帰ってないの?」
「うん。18時まではそこのマックにいた。そのあとはずっと改札のとこで待ってた」
「はあ?2時間もあそこにいたの?」
「うん」
「連絡してくれればいいじゃん!」
「サプライズ」