ベイビー•プロポーズ
エピソード2
休日の2日間が秒のように終わり、長い長い5日間がまた始まった。月曜日の朝というのはとてつもなく憂鬱だ。
学生の頃も月曜日は苦手だったけど、社会人になってからの月曜日はそれの比じゃない。
京浜東北線で1本、横浜方面の職場へと通勤をしている私。朝の通勤ラッシュは避けられず、人にもみくちゃにされながら1時間の通勤時間を日々耐えている。
普通にしんどい。めちゃくちゃしんどい。
この朝の通勤場面から一気に帰りの電車の中へと時間がワープしないかなと毎日本気で願っていたりする。
私が勤めているのはファミレスやレストランを運営している大手の外食チェーン企業。
1年目は店舗配属で都内のレストランをいくつか回っていたのだけれど、2年目で本社勤務が命じられた。
「おはようございます」
「おはよう」
「おはよ伊藤ちゃん」
本社の15階、デスクでびっしりと埋め尽くされたフロアを歩き、挨拶を交わしながらいつもの場所へと向かっていく。人事部、広報部と同じフロア、私が配属されたのは経理部。
昔から数学は大の苦手で高校時代は赤点取りまくり。完全文系の私は、経理部への異動を言い渡された時「ああ、終わった」と落胆した。
あれから2か月ほどが経ち、毎日数字と格闘しながらもなんとかやっていけている。
「おはようございます、沢城先輩」
「はよ」
自分のデスクへ着き、私の隣に座る先輩へと挨拶をすれば、いつも通りの低音が返ってきた。