ベイビー•プロポーズ
「萌葉は弟の友達、えーと……黎くんだっけ?何か進展はあった?」
「えっ、……あ!」
美郷が急に黎の名前を出すから驚いて、スマホをタップしてしまった。
目の前の画面には【マッチング完了】の文字。そしてハートで囲まれた私と麒麟に餌をあげている男のアイコン。
「最悪だ……、やってしまった」
「なになにどした?」
項垂れる私へと身体を寄せる美郷にスマホ画面を差し出した。
「あら、マッチング!」
「あら、じゃないよ〜どうすればいいのこれ?」
「別に興味ないならそのまま放置でいいんじゃない?」
「え、そういうもんなの?」
「相手からメッセージが来て気になるようなら返せばいいし。そんな固く考えなくても大丈夫だよ」
マッチングアプリ初心者の私は【マッチング完了】の文字に大きく動揺してしまう。
「その相手オンライン中じゃん。すぐメッセージ来たりして」
「へ?」
前の席から私のスマホを覗き込み「ほら、アイコンの横の丸が緑になってるでしょ。これオンラインってこと」と丁寧に教えてくれる優弥。
「優弥もアプリやってるの?」
「うん、まあ。前の彼女もアプリで知り合ったし」
「へえ、そうだったんだ」
「あ!伊藤ビンゴ!萌葉、きたよ」
美郷の声に視線をスマホへ戻すと、
『マッチングありがとうございます!よかったら――』
麒麟アイコンから早速のメッセージが。