ベイビー•プロポーズ
恐らく私は恋愛に向いてないのだ。
彼氏は欲しいと思うのに、いざ付き合ってみると会うことも連絡を取り合うことも面倒になっていって。きちんと相手を好きになる前に毎回お別れしてしまう。
そもそもちゃんと人を好きになったのって……もしかして高1の時が最後じゃない?
2つ上の他校の先輩で、初めて自分から告白して1年くらいお付き合いをした。1年続いたのは後にも先にもその先輩だけだった。
「もえ!前に言ってた同じ部署の先輩とはなにか進展あった〜?」
脳内が過去にトリップしていたところを、本日の主役椎菜に呼び戻された。
「な~んにも!しかもその先輩大学時代からずーっと付き合ってる彼女がいるみたい」
「そっかあ。もえがめちゃくちゃかっこいいなんて褒めるの珍しいから気にしてたんだけどなあ」
「私も久々にときめいたから残念~」
「あれ?萌葉って店舗勤務じゃなかったけ?」
「4月から本社に異動になったんだよ~。横浜まで通ってるの」
「うーわまじ?通勤超大変じゃーん」
「あ!私も実は転職しましたー!」
「え、早くない?」「何系にいったの〜?」
女子が大勢集まると、会話は数珠つなぎで広がっていく。特にこういったアルコールの入った女子会において、沈黙という言葉は存在しない。