ベイビー•プロポーズ

エピソード4


んー……あれ、身体が、動か…ない。


なんだかこれって、デジャヴ……!?


「――はっ!」


目を見開き、1番初めに飛び込んできたのはいつもの真っ白な天井。身体が動くか確かめようと両手を上へ伸ばすと、何の障害もなく上半身は自由に動いた。


動かないのは下半身……?


ゆっくりと上半身を起こし、足元へと目を向けると、薄手のタオルケットがかかった私の足を枕にして、うつ伏せで眠っている黎の姿があった。



「れ、黎?」

「……」


黎からの反応はなく、返ってくるのはゆったりとした寝息だけ。


枕元に置いていたスマホを手繰り寄せて画面を確認すると、時刻はまだ8時前。


確か今日は土曜日のはずだけど……、どうして黎がこんな時間に?そしてなにより、まだ夏休み中のはずなのにどうして黎は制服姿?


2人で出かけたあの日からもうすぐ1か月が経とうとしているけど、私と黎の関係は何も変わっていない。黎の私に対する態度もいつも通り。


だけど、あの日私が指摘したからか、黎は過度なスキンシップをしてこなくなった。


ベッドの中に入り込まず、私の足元にいるのはきっと黎なりに私の言葉を気にしているからだと思う。
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