ベイビー•プロポーズ
この高校の文化祭は私の在学中と変わらず、1日目は生徒のみの校内公開、2日目は一般公開をしている。
校舎に入ってからもかなりの人で賑わっていて、その多くが制服姿の他校生だった。
膝上ミニ丈のスカートに生足、やっぱり制服は最強だよな、と心の中でため息を吐く。JKブランド……羨ましいな。
キラキラ感とフレッシュさでいっぱいの空気を潜り抜けながらたどり着いた2年5組の教室。【メイド&執事喫茶】と書かれた手作り感満載の看板が大々的に掲げられている。
すでに教室前には大行列ができていて、7:3で女子の割合が多い気がする。この中に並ぶのはちょっと、いや、だいぶ気が引けてしまう。
「ねえこれさ、もしかして私たちアウェイな感じ?」
「もしかしなくてもアウェイだよ…」
「私も萌葉もばばあって思われてるんじゃない?」
「JKこっわ」
「なら俺はじじい?」
「ははは、やばいねうちら」
冗談めいたことを言いながらけらけらと笑う2人に合わせて私も笑ってみせるけど、その言葉を真に受けてしまっている自分もいる。
列の最後尾に並ぶ前に、碧葉と黎へそれぞれ『着いたよ』とメッセージを送ったところで、私たちの正面が何やらざわざわと騒がしくなった。