続お菓子の国の王子様 結婚に向けて
落ち着きを取り戻し、今にも泣き出しそうな顔の
彼女の言葉に胸が締め付けられた。


「あ、あのね、あんな風に雅さんに詰問されて、とても悲しかった。私が何もしていないのに、私が悪いと思わされて。二度とあんな雅さんに接したくないから、引越しや会社を辞めることも考えてる.....すごく傷ついた。それに、被害者である私が知らないところで全てが決められたのも嫌だった。みんなが私のためを思ってのことだと理解しているけれど、私のことなのに、誰も私がどう思っているのかを決める前に聞いてくれない......何だか自分がどうでもいいように扱われているみたいで、いてもいなくてもどうでもいい存在のように感じる……」


美愛ちゃんがいい終わる前に、俺は彼女を
抱きしめた。




「本当にごめん、ごめん。美愛はどうでもいい存在なんかじゃないよ。ただ、みんなこれ以上美愛ちゃんを傷つけたくなかったんだ。美愛ちゃんは、俺のことを信用していないかもしれない。でも、伝えたいこと、伝えなければならないことがあるんだ。初めからすべて話すから、長くなるけれど、聞いてくれるかな?」



旧華族の家柄、愛情に満ちた家族や仲間のこと、初めての彼女が自分をブランド品としてしか見ていなかったこと、甘党であることを否定されたこと、高校一年生のときに進路に迷っていたことを順に話した。

美愛ちゃんは相槌を打ちながら、静かに耳を傾けてくれる。
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