続お菓子の国の王子様 結婚に向けて
2日ぶりに帰ってきた部屋の中は、至る所にお酒の空き缶が散乱し、無造作に脱ぎ捨てられたスーツが床に置かれている。


「ごめん、今すぐ片付けるから」


バツの悪そうな雅さんが、床からスーツを拾い上げる。


「2人で片付けた方が早いから」


私はリサイクル用のゴミ袋を手に取り、缶を拾い始める。


こんなにお酒を飲んじゃって。食事をした形跡もないし、体を壊しちゃうじゃない。


「雅さん......ご飯を食べていたの?」

「えっ? あっ、ううん、腹は減ってなかったから」

「ご飯を食べずにこんなにお酒ばかり飲んでいたら、体を壊すでしょう?」


「美愛ちゃんがいないと、俺は全然ダメなんだよ。情けないくらい」


さっき仁さんが言った言葉を思い出す。
『姫ちゃんのことになると、ポンコツになっちまう』


会社でキリッとしている雅さんも、優しく微笑んでくれる雅さんも、そしてこんなポンコツな雅さんも、全てが愛おしい。
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