The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
日替わりランチを食べながら。

俺はへこたれずに、ハバナに話しかけ続けた。

「ハバナさんは、将来は帝国騎士希望なんですか?」

「えぇ、そのつもりよ」

即答であった。

これが本音なのかは分からない。でも…恐らく、本音なのだろう。

かつて帝国騎士官学校に潜入していたルルシーと同じように、彼女もまた、卒業後そのまま帝国騎士団に入団する。

そして、今度は帝国騎士団のスパイになるつもりだ。

そもそも、そうでなきゃランドエルスに紛れ込んだ意味がない。

「最近は女性騎士も増えてますしね~」

相槌のつもりでそう言うと、アシベルが乗ってきた。

「伯父上に聞くところによると、今の帝国騎士団副団長は女の人らしいよ」

あぁ、それ俺の姉ね。

「おいおい、そんなことぺらぺら喋って良いのか?守秘義務があるだろ」

「おっと、そうだった。皆このことは他言無用で」

慌てて口を閉じるアシベル。けれどもハバナの目は、獲物を狙う獣のように鋭かった。

ここまで口の軽いアシベルだ。騙して情報を吐かせることくらい、訳ない。そう考えているのだろう。

アシベルより俺に聞けば良いのに。帝国騎士団八番隊隊長であるウィルヘルミナの下着の色だって答えてあげるのに。

「しかし、ミューリアさんと言い、ハバナさんと言い、最近の女性騎士は強いですよね。帝国騎士団の副団長まで女性なんて…。俺達男の立つ瀬がないですよ」

ルシェやウィルヘルミナはともかく、ミューリアなんて恐れるに足りないのだが。

ハバナをおだてる為に、俺はそう言った。

「そんなことないわよ、ルナニア。あんたもサボらずに稽古を頑張ったら、それなりになるわよ」

「俺だって頑張ってますよぅ…」

「お前はまず、階段ダッシュを文句言わずにやることから始めないとな」

エルスキーが茶化し、皆がどっと笑った。

ハバナ以外は。

冷めた目で俺を見るハバナに、これは多少強引に出ないとなぁ…と思った。
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