The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
一ヶ月ばかり、そんな調子で頑張ってみたが。

ハバナの興味は、いっこうに俺には向けられなかった。

ルナニアとして演技をしている以上、仕方ないことではあるが。

ここまでスルーされると、さすがにイラッとするな。




「…うぅ…」

「元気出せ、ルナニア」

俺はまたしても机にぐでん、と突っ伏し、大袈裟に唸ってみせる。

一ヶ月、ハバナと仲良くなろうと様々なアプローチを仕掛けてみたのだが。

全く、通じなかった。

むしろハバナは、アシベルに興味があるようだった。

エルスキーもミューリアもそれに気づいていたけど、俺に気を使って、エルスキー達は何も言わなかった。

「さすがハバナ…。ガードが堅いわね。鈍いと言うか何と言うか…」

「もういっそ、ストレートにコクれよ。でないと一生気づいてもらえないぞ」

そう。エルスキー、その一言を待っていた。

「でも…」

「もうそれしかないわよ。断られたって、友達として仲良くしましょうって言えば良いわ。ハバナ、良い子だから、告白を断ったくらいであなたを避けたりしないわよ」

ミューリアもそう言って加勢した。

更に。

「ハバナさん、クールだから、はっきり言わないと気づいてもらえないんじゃないかな」

アシベルまで、俺に玉砕を提案。

まぁ、あれだけ露骨じゃあな。もういっそはっきり言った方が良いというのも頷ける。

そして、俺もそのつもりだった。

「今日、ハバナをカラオケに誘ってあげるから。その帰り道にでも告白しなさい」

「ちゃんと二人きりになれるよう、お膳立てするから」

「…分かりました」

ここは、もうルナニアも覚悟を決めるときだ。

勿論、ルレイアとしても。

俺は意を決したように頷いた。

緊張した顔を見せながら、心の中では…いつものごとく、妖艶に口許を歪めていたのは、言うまでもない。
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