The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
「そんなことはどうでも良い。お前達は、私達と敵対するつもりなんだろう?私を捕らえるのも拷問するのも勝手だが、私は何も喋らない。無駄なことだ」

あ、なんか怒らせちゃったっぽい。

「ふーん…」

「『シュレディンガーの猫』は甘くない。正体がばれてしまった以上、組織に戻っても私は殺される。ならばいっそ、お前を道連れにして…」

ハーリアは学生鞄のポケットに手を突っ込み、隠し持っていたらしい手榴弾を手にした。

成程。心中か。

美人と心中するってのは、悪くはないのだが。

ルルシー以外の美人と心中するのは…ご遠慮願いたいところだな。

「まぁまぁ、心中は待ってくださいよ。俺は別に、あなた方と敵対したい訳じゃないんですから」

「…どういう意味だ」

「言葉通りの意味ですよ。『青薔薇連合会』は『シュレディンガーの猫』と敵対するつもりはありません」

これには、ハーリアも驚いたらしい。

そんな間抜けな顔でこちらを見られても困るな。

「…敵対するつもりはない、だと?何故だ。そんなことをして、お前達に何のメリットがある」

「平和条約を結ぶこと、これ自体にメリットがあると思いません?平和が一番ですよ。争っても楽しいことなんて何も…」

「ふざけるな!話すならさっさと話せ!」

血管切れるの早いぞ、この人。

こんなにぷんすか怒って。肌荒れの大敵じゃないか。

「話しますよ…。そんな怒らないでください」

「良いから、早く話せ」

はいはい。分かりました。

俺だって心の準備が必要だから、ちょっと回りくどく攻めたかったんだ。

…さて、ここから先は…俺の演技力の真価が問われるところ。

「…単刀直入に言います、ハーリアさん」

「…」

「『シュレディンガーの猫』に対して、『青薔薇連合会』は、停戦、及び共闘を申し入れたい」

このときの、ハーリアの驚いた顔と言ったら。

ミューリア達に見せてやりたいほど、愉快なものだった。
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