The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
どうやら、この場で俺に殺される道を選ぶのはやめたようだ。

自分の命は、あくまでも実は組織に委ねるという訳か。

「良い返事を期待していますよ」

「…」

ハーリアは、これで用事は済んだとばかりに振り返った。

けれども、これで帰られては困る。

「ちょっと待って。話はまだ終わってませんよ」

「まだ何か?」

「大事な話が残ってますよ。あなたが明日からももし生きているなら…つまりこの話を承諾するなら、あなたは俺の恋人になってもらいます」

「…何だと?」

すっ、と目を細めるハーリア。

誰がお前なんかと、とでも言いたそうだ。

失敬な。こう見えて俺は、モテるんだからな。老若男女問わず。女には特に。

「本物の恋人ではありませんよ。ランドエルスでの…学校の中でのことです。『青薔薇連合会』と『シュレディンガーの猫』が組むなら、両組織の連絡役を担うのは我々でしょう。となると、話をしているのをクラスメイトに見られたとしても、怪しまれない関係になっておいた方が良い」

「…」

「恋人同士というのを公言しておけば、一緒にいても不自然ではないでしょう。既にミューリアやエルスキー達には根回ししてあります。『ルナニアはハバナさんが好きで、今日の放課後に思いを伝える』。彼らはそう思ってますから。『ハバナさんはルナニアの誘いにOKした』と広めれば、一緒にいても怪しまれない」

「…それで、最近…私に近づいてきてたのか?」

今気づくのか。遅過ぎやしないか。

「俺の周到な根回しに感謝して欲しいですね」

「…了解した。私はお前の恋人になる。学校ではそれで通す」

「宜しい」

なんともロマンチックさの欠片もないが、これで恋人関係を築くことが出来た。

ひとまず、一件落着である。

「話は以上です。生きていたら、また会いましょう」

「…」

ハーリアは答えず、足早に立ち去っていった。

あとは、明日彼女が生きているかどうかだ。





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