The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
部屋の空気が、一瞬にして10℃くらい下がったような気がした。
「…殺せなかった、という言葉の意味は?」
「…私に、どうにか出来る相手ではありませんでした」
「ふーん…。それで、何でお前は生きてるんだ?刺し違えてでも敵を殺そうとは思わなかったか?」
「伝言が…。伝言があるんです。『青薔薇連合会』の幹部から…総帥に交渉を持ちかけるようにと」
殺されるにしても、ルレイアからの伝言は、どうしても伝えなければならなかった。
『猫』の存続の為にも。
「あぁ、成程…。それでお前は見逃してもらえたのか」
「そうです…。『連合会』の幹部…ルレイア・ティシェリーによると、『青薔薇連合会』は帝国騎士団と同盟を組んで、我々を粛清するつもりだそうです」
「…帝国騎士団と…?水と油じゃないか。敵の敵は味方だということか?」
「恐らくは…」
帝国騎士団が何を考えているのか、『青薔薇連合会』が何を考えているのかも、私にはその真意が掴めない。
私には、ルレイアの言葉をただ伝書鳩みたいに伝えることしか出来ないのだ。
「…しかし、『青薔薇連合会』は帝国騎士団を裏切り、我々と同盟を結びたいと…。そして、結託して帝国騎士団を倒したいそうです」
「…」
「同盟を結ぶなら、我々がルティス帝国で活動していく為の基盤を作る手伝いをすると言っていました」
「…そうか…」
総帥は再び黙り込み、空を仰ぐように視線を上げた。
…何と言うだろう。総帥がこの話を受ければ、私は助かる…かも、しれない。
でも、断るなら…。
「…どうにも上手い話だな。そのルレイアとかいうのに…乗せられているような気がする」
「…」
「…そうだな、カセイ。お前はどう思う?」
不意に意見を求められ、私ははっとして顔を上げた。
私?私の…私の意見?
何か言わなければ。総帥が求めているような意見を。
「…少なくとも、ルレイアの…帝国騎士団への憎しみは本物であるように見えました。『青薔薇連合会』は帝国騎士団と組むのは本意ではなく、どうせ組むなら同じマフィアである我々の方が良いと…」
「つまりお前は、『青薔薇連合会』と組む方が良いと言うのか。お前がそう言うのは当然だな。そうでなきゃお前は殺される」
「…」
「だが安心しろ。この話を受けるにせよ受けないにせよ、お前は死ぬ。任務に失敗するような無能は『猫』には要らない」
目の前が真っ暗になる思いだった。
覚悟はしていた。でも…いざ死刑判決を言い渡されると、身体が震えた。
「…さて、それじゃ、お前はどう思う?シトウ」
総帥は、自分の後ろに立っている護衛役の女に声をかけた。
「…殺せなかった、という言葉の意味は?」
「…私に、どうにか出来る相手ではありませんでした」
「ふーん…。それで、何でお前は生きてるんだ?刺し違えてでも敵を殺そうとは思わなかったか?」
「伝言が…。伝言があるんです。『青薔薇連合会』の幹部から…総帥に交渉を持ちかけるようにと」
殺されるにしても、ルレイアからの伝言は、どうしても伝えなければならなかった。
『猫』の存続の為にも。
「あぁ、成程…。それでお前は見逃してもらえたのか」
「そうです…。『連合会』の幹部…ルレイア・ティシェリーによると、『青薔薇連合会』は帝国騎士団と同盟を組んで、我々を粛清するつもりだそうです」
「…帝国騎士団と…?水と油じゃないか。敵の敵は味方だということか?」
「恐らくは…」
帝国騎士団が何を考えているのか、『青薔薇連合会』が何を考えているのかも、私にはその真意が掴めない。
私には、ルレイアの言葉をただ伝書鳩みたいに伝えることしか出来ないのだ。
「…しかし、『青薔薇連合会』は帝国騎士団を裏切り、我々と同盟を結びたいと…。そして、結託して帝国騎士団を倒したいそうです」
「…」
「同盟を結ぶなら、我々がルティス帝国で活動していく為の基盤を作る手伝いをすると言っていました」
「…そうか…」
総帥は再び黙り込み、空を仰ぐように視線を上げた。
…何と言うだろう。総帥がこの話を受ければ、私は助かる…かも、しれない。
でも、断るなら…。
「…どうにも上手い話だな。そのルレイアとかいうのに…乗せられているような気がする」
「…」
「…そうだな、カセイ。お前はどう思う?」
不意に意見を求められ、私ははっとして顔を上げた。
私?私の…私の意見?
何か言わなければ。総帥が求めているような意見を。
「…少なくとも、ルレイアの…帝国騎士団への憎しみは本物であるように見えました。『青薔薇連合会』は帝国騎士団と組むのは本意ではなく、どうせ組むなら同じマフィアである我々の方が良いと…」
「つまりお前は、『青薔薇連合会』と組む方が良いと言うのか。お前がそう言うのは当然だな。そうでなきゃお前は殺される」
「…」
「だが安心しろ。この話を受けるにせよ受けないにせよ、お前は死ぬ。任務に失敗するような無能は『猫』には要らない」
目の前が真っ暗になる思いだった。
覚悟はしていた。でも…いざ死刑判決を言い渡されると、身体が震えた。
「…さて、それじゃ、お前はどう思う?シトウ」
総帥は、自分の後ろに立っている護衛役の女に声をかけた。