The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
「こんにちは、シュノさん」

『ルレイア?ルレイアなの?』

「えぇ、ルレイアですよ」

そう答えると、電話の向こうのシュノさんは、あからさまに嬉しそうな声を出した。

『ルレイアなのね。嬉しい。一体どうしたの?元気?』

「元気ですよ。シュノさんは?ルーさんも」

『私もルーちゃんも元気よ。でも…ルレイアに会えなくて、ルーちゃんちょっと寂しそうだわ。…私もだけど』

あぁ、シュノさんのこの可愛いこと。さっきのハーリアって何だったんだろうな。あんなに可愛いげのない女はいない。

『それで?どうしたの?』

「シュノさんにちょっと、お願い事がありまして」

そう言うと、シュノさんは仕事モードに入った。

『何すれば良いの?』

「頼まれてくれますか」

『私に出来ることなら何でもするわ。私に出来ないことでも…ルレイアの頼みなら、なんとか頑張る』

素晴らしい。なんと健気な少女だろうか。

『あなたの計画に…何か不具合が?』

「いえ、今のところはまだ。それより『シュレディンガーの猫』の総帥が、俺に直接会いたいって言ってるそうで。来週の月曜に会合を開くことになったんです」

シュノさんが息を呑む音が聞こえた。

敵の総大将と直談判なんて、シュノさんでなくてもそりゃびびる。

もし会合に行くのがルルシーだったら、俺は絶対止めただろうな。

『…場所は?』

「不明です。当日に…会合の一時間前に連絡してくるそうです」

『…アイズに協力してもらって、調べてみるわ。会合の候補地をいくつか絞れたら…』

「それでも、一時間じゃ暗殺するには厳しいですね」

マフィアとマフィアが顔を合わせる。そんなことが出来る場所は限られる。けれど…一ヶ所に絞りきることは出来ない。

何処か一ヶ所に賭けて、暗殺の準備を進めても良いけど。

まぁ…多分外すだろうなぁ。

「それに、暗殺対策はしっかり立ててくるでしょうし」

『…危険だわ、ルレイア。敵の総大将と会うなんて…』

シュノさんなら、そう言うだろうと思っていた。

「危険は端から、承知の上ですよ」

危険を覚悟していなければ、そもそもこんな大それた計画を打ち出したりはしない。
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