The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
「俺だって、そう簡単にはやられませんよ、シュノさん」

『それは分かってるわ。でも…。わざわざ自分から、危険に飛び込んでいかなくても良いじゃない』

仰ることはごもっとも。

シュノさんの言う通りである。俺は自分から、虎の穴に飛び込もうとしている。

でも、当たり前だけど、そうでもしないと虎の子は得られない訳で。

何より。

「俺はルルシーの腕の中で生涯を終えるって決めてるんです。他の場所じゃ死にませんよ」

『…ルレイア…』

「大丈夫。だから、シュノさんも俺が死なないように協力してください。あなたの力が必要なんです」

『…分かった』

シュノさんは、力強く答えた。

シュノさんなら…そう言うだろうと思っていた。

俺の知ってるシュノさんなら。

『何をすれば良い?』

「当日、会合の場所が分かったら連絡するので、一応周辺で待機してください。何かあったら援護頼みます」

『分かった』

「指揮はあなたが取ってください。アリューシャはスナイパーだから司令塔にはなり得ませんし、アイズレンシアは後方支援担当ですから」

ルルシーがいれば、ルルシーに頼んだのだろうけど。

ルルシーがいない今、司令塔として頼れるのは、シュノさん以外にない。

『分かった。任せて』

シュノさんも、力強く引き受けてくれた。

彼女も肝が据わっている。マフィアの幹部として。

「あ、それと…。俺のルルシーからそちらに連絡があったら、俺は無事ですよ~、愛してますよ~って、伝えてもらえます?」

『それは昨日伝えたわよ?』

「さすがシュノさん」

きちんと愛してるまで伝えてくれるとは。なんて優秀なんだ。

「じゃあ今度連絡が来たら、俺の愛を増し増しにして伝えてください」

『分かった。増し増しね』

ルルシーも喜んでくれるに違いない。楽しみだなぁ。




その後、俺はシュノさんと細かい打ち合わせをして、通話を切った。


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