The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
やはり、そう簡単に了承してはくれないか。
「何をそんなに渋ることがあるんですか」
「随分上手い話だと思ってな」
俺に何か裏があると思ってるのか。
そりゃ、裏はありまくりだけど。
その裏を見破られたら、俺はおしまいだ。
「俺を疑ってます?これでも俺は、帝国騎士団への憎しみだけで作られたような人間だと思ってるんですがね。大体奴らは…人を裏切るのはお家芸みたいなものですから」
ここで俺は、その手札を切った。
「…どういう意味だ?」
案の定、Xは乗ってきた。
乗ってきてもらわないと困る。俺にとっては切り札みたいなものなんだから。
「奴らには前科があるんですよ。仲間を裏切った前科が」
「…詳しく聞きたいな」
「俺、実は元帝国騎士なんですよ。でも裏切られました。わざと冤罪吹っ掛けられてね」
「…」
Xの、この疑り深い顔。
あの帝国騎士団が。正義を謳い、清く正しいことを第一とするあの帝国騎士団が、仲間に冤罪を着せるとは。
そりゃ信じがたいことだろう。他国の人間なら特に。
「嘘だと思います?調べてみても良いですよ。その件を揉み消したのは我々ですけどね」
「…シトウ」
Xは横を向いて、おばさんに声をかけた。
俺の言葉が本当かどうか調べろ、という指示だ。
あのおばさん、シトウって名前なのか。変なの。
命令を受けたおばさん、ことシトウは立ち上がって、そそくさと部屋を出ていった。
「その話が本当なら…帝国騎士団が正義の組織というのは真っ赤な嘘だな」
「奴らの辞書に書いてある『正義』と、俺達の辞書に書いてある『正義』は意味が違うんでしょうね」
俺に言わせれば奴らの言う『正義』は、イコール全部、偽善なのだ。
そう思うと全部筋が通る。
「しかし、そうやって君は帝国騎士団を蔑むが…君達が帝国騎士団と同じように、我々を裏切らない保証はあるのか?」
「全くありません。あなた方が裏切らない保証が何処にもないのと同じです」
俺達がそうしているのと同じように、『シュレディンガーの猫』が帝国騎士団と裏で仲良くする可能性だってある訳だからな。
「とはいえ、我々はマフィアです。お互いが取り交わした約束を破るなんてことをしたら、どんなに恐ろしい報復が待っているか、分からない訳ではないでしょう」
「…確かにな」
裏社会において、契約、掟は絶対的なもの。
一度守ると決めた約束を反故にすることがあれば、命でもって購っても足りないくらいだ。
今まで、秘密裏に俺達を裏切っていた傘下組織に対して、どんな報復をして償わせてきたことか。
一度決めた契約なら、死んでもそれを破ることはしない。
マフィアの鉄則のようなものだ。
…まぁ、本当にその契約を守る気があるのなら、の話だが。
「そう難しく考えないでください。仲良くするにも、敵を倒した後多くの利益を得ようとしても、帝国騎士団よりあなた方の方が都合が良い。それだけの話です」
「…」
Xの表情は読めなかった。今何を考えているのか。
俺の言うことを、もっともなことだと思っているのだろうが。
…と、そのとき。
退席していたおばさんが、険しい顔つきをして戻ってきた。
「何をそんなに渋ることがあるんですか」
「随分上手い話だと思ってな」
俺に何か裏があると思ってるのか。
そりゃ、裏はありまくりだけど。
その裏を見破られたら、俺はおしまいだ。
「俺を疑ってます?これでも俺は、帝国騎士団への憎しみだけで作られたような人間だと思ってるんですがね。大体奴らは…人を裏切るのはお家芸みたいなものですから」
ここで俺は、その手札を切った。
「…どういう意味だ?」
案の定、Xは乗ってきた。
乗ってきてもらわないと困る。俺にとっては切り札みたいなものなんだから。
「奴らには前科があるんですよ。仲間を裏切った前科が」
「…詳しく聞きたいな」
「俺、実は元帝国騎士なんですよ。でも裏切られました。わざと冤罪吹っ掛けられてね」
「…」
Xの、この疑り深い顔。
あの帝国騎士団が。正義を謳い、清く正しいことを第一とするあの帝国騎士団が、仲間に冤罪を着せるとは。
そりゃ信じがたいことだろう。他国の人間なら特に。
「嘘だと思います?調べてみても良いですよ。その件を揉み消したのは我々ですけどね」
「…シトウ」
Xは横を向いて、おばさんに声をかけた。
俺の言葉が本当かどうか調べろ、という指示だ。
あのおばさん、シトウって名前なのか。変なの。
命令を受けたおばさん、ことシトウは立ち上がって、そそくさと部屋を出ていった。
「その話が本当なら…帝国騎士団が正義の組織というのは真っ赤な嘘だな」
「奴らの辞書に書いてある『正義』と、俺達の辞書に書いてある『正義』は意味が違うんでしょうね」
俺に言わせれば奴らの言う『正義』は、イコール全部、偽善なのだ。
そう思うと全部筋が通る。
「しかし、そうやって君は帝国騎士団を蔑むが…君達が帝国騎士団と同じように、我々を裏切らない保証はあるのか?」
「全くありません。あなた方が裏切らない保証が何処にもないのと同じです」
俺達がそうしているのと同じように、『シュレディンガーの猫』が帝国騎士団と裏で仲良くする可能性だってある訳だからな。
「とはいえ、我々はマフィアです。お互いが取り交わした約束を破るなんてことをしたら、どんなに恐ろしい報復が待っているか、分からない訳ではないでしょう」
「…確かにな」
裏社会において、契約、掟は絶対的なもの。
一度守ると決めた約束を反故にすることがあれば、命でもって購っても足りないくらいだ。
今まで、秘密裏に俺達を裏切っていた傘下組織に対して、どんな報復をして償わせてきたことか。
一度決めた契約なら、死んでもそれを破ることはしない。
マフィアの鉄則のようなものだ。
…まぁ、本当にその契約を守る気があるのなら、の話だが。
「そう難しく考えないでください。仲良くするにも、敵を倒した後多くの利益を得ようとしても、帝国騎士団よりあなた方の方が都合が良い。それだけの話です」
「…」
Xの表情は読めなかった。今何を考えているのか。
俺の言うことを、もっともなことだと思っているのだろうが。
…と、そのとき。
退席していたおばさんが、険しい顔つきをして戻ってきた。