The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
このおばさん、けばけばしい化粧で誤魔化すのは結構だが、険しい顔をすると10歳は老けて見えるな。

メイクするのが下手過ぎる。

「どうだった?」

「…どうやら、この男が言っていることは真実のようです。情報のほとんどが消されていますが、一時期話題になっていたそうで」

おばさんはXに、情報端末を渡した。

Xはその端末の画面を、しばしじっと眺めた。

「…成程。その年で、随分と波乱万丈な人生を歩んできたらしいな」

「そうなんですよ。信じてもらえたようで何よりです」

俺としても、言いたくないことを言わされたんだから。信じてもらわないと困る。

「…」

Xは顎に指を当てて、しばらく黙って考えていた。

その仕草が何処となくオルタンスに似ていて、イラッとした。

でもこの男は、あいつとは違う。

似ているけど、その根本にあるのは全く違うものだ。

「ご決断のほどを、お聞かせ願いましょうか」

俺が出せるカードは、全部出しきった。

あとは、Xの判断に任せるだけだ。
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