The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

sideルルシー

ーーーーーー…ルレイアから、メールが届いた。

そのメールを読むなり、俺は使用人に頼んで、オルタンスを至急呼んでくれるよう頼んだ。

忙しくしていただろうに、オルタンスはすぐにやって来た。





「何か用か?」

「ルレイアから連絡が来た。『シュレディンガーの猫』は、ルレイアの誘いを受けるそうだ」

「そうか」

かなり重大な報告をしているはずなのに、この男の反応の薄いことといったら、「今晩ハンバーグね」とでも言われたのかと思うほどだ。

「ルレイアからのメール、転送するからアドレスを教えてくれ」

「あぁ…そうだな」

オルタンスは自分のタブレット端末を取り出した。

何の縁があって、帝国騎士団長とメルアド交換なんかしなきゃならないのか。

ルレイアだったら、今頃吐いてるだろうな。

「送ったぞ」

「あぁ。…届いた」

俺が転送したルレイアからのメールを受信するなり。

オルタンスの手が止まった。

…何で止まる?

「…件名に、『ルルシーへのラブレター(/ω\)イヤン』と書いてあるんだが…。俺が読んで良いものなのか?」

「…気にせず読んでくれ…」

あの馬鹿。余計なこと書きやがって。

そのメールには、『シュレディンガーの猫』の総帥と交わした会合の内容や詳しい経緯が書いてあった。

しかしオルタンスは、それらの大事な本文については何も質問しない代わりに。

一番見逃していて欲しいところを、わざわざ指摘してきた。

「気になることがあるんだが」

「何だ?」

「この末尾の…。『p.s.帝国騎士団で浮気したらお仕置きフルコースですよ(*^^*)』という文章はどういう意味なんだ?」

…このメールで、何で、そこに目が行くんだ?

「…聞くな」

「あぁ。…悪かった」

オルタンスはそれで納得した。何かを察したのか、それとも興味がなくなったのか。

今度ルレイアに会ったら、メール本文に余計なことは書くなと釘を刺しておかなければ。

「これ、印刷して次の隊長会議で配りたいんだが、良いか?」

「原文はやめてくれ…。要約して。要約して書いてくれ」

「この…浮気云々の下りも?」

「そこは削除だ」

「分かった」

本当に分かったのか、この男?そのまま印刷するんじゃなかろうな。

不安はあったが、オルタンスは用を済ませるなり、さっさと部屋を出ていってしまった。
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