The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
「…気になります?そんなことが」
「あ…いや、話したくないなら無理には…」
「別に良いですけど」
俺は自分の左手首をそっと撫でた。
さすがに学校にいるときはリングブレスレットはつけられないから、リストバンドで隠している。
この傷を見る度に思い出す。
「昨日も言いましたけどね、帝国騎士団にいたことは本当です。一年くらいのことですけど。一応これでも隊長だったんですよ。四番隊の」
「ということは…ルティス帝国で四番目に強かったってことか?」
「何で過去形にするんです?今も強いですよ」
今なら…どうだろう。アドルファスくらいならやれるんじゃないか?
無傷では倒せないと思うから、やらないけど。
「…私では到底敵わない訳だな。帝国騎士団の元隊長なんて…」
「そう悲観しなくても。少なくともランドエルスの教師陣よりはあなたの方が強いと思いますよ」
あの馬鹿なアシベルやミューリア達とは、比べ物にならない。
俺やカセイのそれと比較すれば、ミューリア達のやっていることは、おままごとみたいなものだ。
「帝国騎士団に、裏切られたと聞いたが…」
「正しくは、元女王とオルタンスに、ですけどね」
「元女王は良いとして…オルタンスというのは?」
「帝国騎士団の騎士団長ですよ」
今思い出しても腹が立つ。あの澄まし屋め。
「女王と王家の威信を守る為に、俺に罪を擦り付けた訳です。それで俺から貴族としての権利と、四番隊隊長の職を奪って帝国騎士団から追放した。糞みたいな人間ですよ、あれは」
「貴族…?ルレイアは貴族なのか?」
「元、です。元」
今となってはもう、懐かしさすら覚えるな。
二度と戻りたいとは思わないが。
「アシベルの…カルトヴェリア家のような?」
「あれよりはもっと上位の貴族ですよ。だからあなたは、あからさまにアシベルに愛想振り撒いて、馬鹿なあいつから情報を引き出すより、最初から俺のアプローチに従って、俺から聞き出した方が遥かに正確で情報量も多かった訳です」
「…気づいていたのか」
「あれだけあからさまじゃ、気づかない方がおかしいでしょう」
気づいていないのはアシベルだけだ。でも、あいつは頭がおかしいから気づかないのも無理はない。
「結局、アシベルからは何も聞き出せなかった」
「そりゃそうでしょう。しかもあいつ、一応カルトヴェリア家の人間ではありますが、直系の血筋ではないみたいなので、取り入ったところで大した情報は引き出せませんよ」
「…」
自分の努力が徒労であったことを知って、哀れなカセイは溜め息をついた。
馬鹿だなぁ、この女も。
最初から、俺に取り入っておけば良かったものを。
「あ…いや、話したくないなら無理には…」
「別に良いですけど」
俺は自分の左手首をそっと撫でた。
さすがに学校にいるときはリングブレスレットはつけられないから、リストバンドで隠している。
この傷を見る度に思い出す。
「昨日も言いましたけどね、帝国騎士団にいたことは本当です。一年くらいのことですけど。一応これでも隊長だったんですよ。四番隊の」
「ということは…ルティス帝国で四番目に強かったってことか?」
「何で過去形にするんです?今も強いですよ」
今なら…どうだろう。アドルファスくらいならやれるんじゃないか?
無傷では倒せないと思うから、やらないけど。
「…私では到底敵わない訳だな。帝国騎士団の元隊長なんて…」
「そう悲観しなくても。少なくともランドエルスの教師陣よりはあなたの方が強いと思いますよ」
あの馬鹿なアシベルやミューリア達とは、比べ物にならない。
俺やカセイのそれと比較すれば、ミューリア達のやっていることは、おままごとみたいなものだ。
「帝国騎士団に、裏切られたと聞いたが…」
「正しくは、元女王とオルタンスに、ですけどね」
「元女王は良いとして…オルタンスというのは?」
「帝国騎士団の騎士団長ですよ」
今思い出しても腹が立つ。あの澄まし屋め。
「女王と王家の威信を守る為に、俺に罪を擦り付けた訳です。それで俺から貴族としての権利と、四番隊隊長の職を奪って帝国騎士団から追放した。糞みたいな人間ですよ、あれは」
「貴族…?ルレイアは貴族なのか?」
「元、です。元」
今となってはもう、懐かしさすら覚えるな。
二度と戻りたいとは思わないが。
「アシベルの…カルトヴェリア家のような?」
「あれよりはもっと上位の貴族ですよ。だからあなたは、あからさまにアシベルに愛想振り撒いて、馬鹿なあいつから情報を引き出すより、最初から俺のアプローチに従って、俺から聞き出した方が遥かに正確で情報量も多かった訳です」
「…気づいていたのか」
「あれだけあからさまじゃ、気づかない方がおかしいでしょう」
気づいていないのはアシベルだけだ。でも、あいつは頭がおかしいから気づかないのも無理はない。
「結局、アシベルからは何も聞き出せなかった」
「そりゃそうでしょう。しかもあいつ、一応カルトヴェリア家の人間ではありますが、直系の血筋ではないみたいなので、取り入ったところで大した情報は引き出せませんよ」
「…」
自分の努力が徒労であったことを知って、哀れなカセイは溜め息をついた。
馬鹿だなぁ、この女も。
最初から、俺に取り入っておけば良かったものを。