The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
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Ⅰ (16/39)
そしてそこで、勉強会である。
教師役は、勿論我らの女王様。
しかしこの女王様、非常にスパルタであった。
「何でここの答えがこうなるのよ。さっき教えたでしょ!」
「えぇぇ~…?」
だって、分かんない。
ミューリア、何ですぐ怒るの?怒りの沸点低過ぎやしないか?
「アシベルも違う!前のページ見直して」
「…はーい…」
「ミューリア、これここで合ってる?」
「えぇ、合ってるわよ。エルスキーは数学は大丈夫そうね」
エルスキーだけ褒められるのが納得いきません。
落第生は…どうやら俺とアシベルだけのようだ。
「しかしまぁ、何だってよその国の言葉覚えなきゃいけないんだと思います?我々生粋のルティスっ子なんだから、必要ないでしょう」
「本当それ。そもそもルティス語でさえ怪しいのに、外国語なんて習ってられないよねぇ」
ぼそぼそ、とアシベルと喋っていると、ミューリアはきっと睨んできた。
「文句言わない!黙ってやりなさい」
「おぉ怖…。くわばらくわばら」
俺達が現在習っているのは、隣国であるアシスファルト帝国の公用語、アシスファルト語である。
これが非常に難しい。そもそも俺、アシスファルト行ったことないし。
砂糖とか宝石が名産であるらしいから、ちょっと行ってみたいなぁとは思うが。
「しかしお前ら、本当真面目にやった方が良いぞ。今度の試験危なかったら、補習引っ掛かるぞ」
なんて、エルスキーが真剣な顔をして言うものだから。
「分かってますよ~…」
「それで出来たら苦労しないんだよ。ねぇ?」
「そうそう」
アシベルはいかにもつまらなさそうに、鉛筆をころころ転がした。
それを見たミューリアのこめかみに、ぴしっ、と血管が浮き出た。
「あんた達!いい加減にしなさい!」
「いった!」
「ちょ、俺は真面目にやってますって!」
ミューリア渾身の拳骨を食らい、俺とアシベルは涙目で鉛筆をカリカリ動かした。
今日は本当、厄日だ。
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