The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
放課後。

恒例になりつつあった、ユーシャとの打ち合わせにて。

「…って感じで、これ、当日のコンテストで使うBGM。編集しておきましたから」

「わぁ。ありがとう」

音楽データの入ったUSBをユーシャに見せる。選曲は勿論俺の好みなので、七割が『ポテサラーズ』の曲だ。

文化祭・運動会あるあるだろう?BGMの選曲が明らかに選曲者の好みに偏ってる。

俺が用意したんだから俺の好みでやらせてもらう。

今の子達って、どんなアーティストが好きなんだろう?『ポテサラーズ』ってもう古かったりするのかな?

俺の年齢がばれそうだな。まぁ、気にするな。

「ねぇ…ルナニアはもう、衣装の準備してるの?」

「はい?」

最初の頃は、話しかけてもちっとも答えようとしなかったユーシャが。

最近では、こうして自分から話しかけてくるようになった。

それはそれで不意打ちっぽくて、俺はイラッとするのだが。

「衣装、ですか?」

「うん。その…女装の…」

「あ~…」

そういや、実行委員も一緒に参加するんだよな。

つまり、俺とユーシャも女装、または男装の準備をしなけれなならない訳で。

自分もやるんだってこと、全然考えてなかった。

ここで普通のうぶな高校生だったら、「しまった!自分もやるんだってこと忘れてた!女装ってどうやるんだ!」なんて、頭を抱えて笑いを誘うのだろうけど。

残念だったな。

俺が何者だと思ってる。そんじょそこらの童貞チェリー坊やとは訳が違う。

『青薔薇連合会』幹部たる者、女装の一つや二つくらい、軽いものだ。

むしろ堂々とやってやろうじゃないか。

何を着ようか、ちょっと楽しみなくらいだ。

ルルシーに見てもらえないのが非常に残念。

乙女がお洒落をするのは大好きな彼氏の為だと、相場が決まっているというのに。

あ、代わりと言ってはなんだが、アイズやシュノさんを呼ぼうかな。当然、アリューシャも。

「えーと…今から考えます…」

内心楽しみだということは、さすがに言えないので。

ってか女装が楽しみって。それは言わない方が良い奴だ。お互いの為にな。

「何処で調達するの?家にある服?」

「うーん…。うち、俺一人暮らしなので、男物の服しかないんですよね。お店に買いに行くのは恥ずかしいから、通販で買います」

「あ、そっか…。通販で買う、っていう手段もあるのよね」

通販なんて建前だ。レディース専門店に堂々と一人で入って、「自分用なんですけど」と言って店員と相談しながら購入してやろうじゃないか。

実際、シュノさんのゴスロリ服を買いに行ったときは、一人だったし。

今度はあれを、シュノさんの為ではなく、自分の為に買えば良いだけだろう?

余裕じゃないか。駄菓子屋でガムを買うのと一緒。レディース専門店で女装用の服を買うだけ。

こんなので恥ずかしがる奴って、絶対エロ本も買えないだろ。

と、いうのが俺の持論である。
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